茅ケ崎市・赤羽根「今日の生き物記録」1111 2023.7.15
ガマ 初見
今回、当地の水田脇で見かけたガマ。初見であった。葉は幅の広い線形で下部は葉鞘となって茎を包む。茎の先に独特の茶褐色の肉穂花序(穂)をつけていた。
大形の抽水(ちゅうすい)植物であり、高さ2m程になる。上部に雄花群を、それに接して雌花群を付ける。雌花は成熟するとより太く、褐色になるので、ソーセージのように見える。
ガマ科の多年草。細長い葉の垂れ下がる様子を農具の「鎌」に見立てて、ガマと名付けられた。その品種は世界で15種以上に及ぶが、日本では因幡の白兎の伝説として古事記にも登場するほど古くから親しまれている。
毎日歩く散歩道なのに、これまで気づかなかったのが不思議に思えた。
ガマは別名を御簾草(みすぐさ)という。 厚みがあり丈夫なことから、かつては蒲ムシロと呼ばれる敷物や笠、蓑、山菜やキノコを採取する際に腰に着けて使う籠であるハケゴの材料とされた。また、新芽や根のデンプンを食用に、茎や葉をパルプの原料に、穂にできる綿を座布団に、果穂は油を注いで蝋燭代わりにしたという。現代でもアフリカでは根を食べ、葉で住居の屋根や壁を作ることに活用されている。
ガマの開花は6~8月。葉を超えるように突き出した花穂に、アメリカンドックのような花が咲く。花は二段作りで、上段に黄色い雄花、下段に緑褐色の雌花が咲く。いずれも花弁はなく、雄花は3本の雄しべと剛毛からできる。
雌花はそのまま果穂となり、たくさんの果実を抱えて赤褐色に熟す。果穂の上部には雄花の名残である穂軸が残り、この状態を俗に「蒲鉾(がまぼこ)」と呼びカマボコの語源になった。