茅ケ崎市・赤羽根「今日の生き物記録」1019 2023.4.13
ベニカミキリとドウダンツツジ タケとの関係
垣根のドウダンツツジを観察しながらカメラ撮影をしていたところ、偶然にも紅色のカミキリが留まっているのを目撃した。花に集まる赤くて綺麗なカミキリ。
カミキリは木の皮を食べるものが多いが、本種はドウダンツツジの花の蜜に静止していた。 鮮やかな赤い体色をしており、前胸部には5つの黒紋があった。昼行性でよく飛びまわるようだ。また、幼虫は竹類を食べるとされる。
森林総合研究所九州支所定期刊行物「九州の森と林業」害虫シリーズ(22)に面白いことが記載されていた。それによると、ベニカミキリは、体長12.5~17㎜、体と脚、触覚は黒色で、前胸背板と上翅はわずかに紫がかった赤色をした、きれいなカミキリムシで国内では本州から九州まで広く分布している。ベニカミキリは通常乾燥した竹材の害虫とされているが、衰弱した竹を加害することもあることから、竹林でも害虫とされている。とくにモウソウチク、マダケ、ハチクなどのタケ類を加害するようだ。
成虫で越冬し、4月中旬から6月上旬ごろまでに脱出してくると、花粉や花蜜を食べるために、様々な花を訪れる。これが、今回のドウダンツツジに訪れたベニカミキリなのかもしれない。近くに竹藪があったことも、ベニカミキリの生態を理解する上で理解が深まった。
本種は健全な生立竹や伐採直後の新鮮な竹には産卵しないが、衰弱した生立竹や伐採後しばらくした竹材に飛来、節のところに産卵する。産卵された卵は6月初旬から竹材内に穿入し、7~8月頃までに蛹化し、年内に羽化して成虫で越冬するもの(一年一化)と、幼虫のまま越冬して翌年に蛹化、羽化して、成虫で越冬するもの(二年一化)がある。また、本種は1~5月まで、中でも3~4月に伐採されたものによく産卵するようだ。これは竹材のデンプン含量がこの時期に多くなることや、含水率の変化によると考えられている。