ホトケノザ
ホトケノザは、帰化植物の一つで、当地の畑や道端で群生している。
この花を見ると、当地の里地は春に染まってくる。
多田多恵子『 野に咲く花の生態図鑑 春夏編.ちくま文庫.2021』によると、ホトケノザは二つの顔を持つ花だそうだ。開放花(ふつうの花)と虫が来なくても実を結ぶ閉鎖花。つぼみ状で小さく赤いのが閉鎖花。
閉鎖花は、開放花に交じって咲くが、日照や栄養条件が悪いと、閉鎖花が多くなり、条件が良いと開放花を多くつけるそうだ。
近年の研究によれば、開放花がつくるタネは閉鎖花のタネよりもエライオソーム(アリを誘因する脂肪酸や糖からなる塊のこと)が大きく、アリに運ばれやすいという。
ホトケノザは、シソ科特有の上下に分かれた唇の形で、下唇の役目は虫への宣伝と着陸台、上唇は雨よけと雌しべ雄しべの隠ぺい。花の筒の奥に甘い蜜が隠されているということになる。
こうして考えてみると、ホトケノザは2つの戦術をうまく使い分けて分布を拡げてきたことが理解できる。