ユーメラニン色素による発色 スズメの羽色
普段見慣れているスズメの羽色が、メラニン色素による発色であることなど、おもしろい知見を知ることができた(森本 元, 羽の色の不思議, 2021)。
森本によると、スズメの黒色や茶色は、ユーメラニンによる発色である。近縁種のイエスズメでは、雄の装飾形質である喉の黒い模様とメラニン色素の関連を調べた研究例が多いことを紹介している。
また、喉の黒い前掛け状の模様が大きいオスは、闘争に強く社会的に優位な個体であるといった、メラニンによる装飾形質と個体間順位の関係性を示唆した研究例があるようだ。
メラニン色素由来の発色は、体外から摂取するしかないカロテノイドと比較して、相対的に栄養状態による影響が小さい可能性が示唆されている。
メラニン色素の発色には、ストレスなどの社会的要因、それによるホルモン状態といった、カロテノイドとは異なる体内の内的要因が大きく影響し、それを表す信号として機能していると考えられているようだ。
スズメの体表面を覆う構造物である羽毛の発色メカニズムには、隠された秘密が多くある。