教材としてのクロマツの葉
生物教師として初めに手掛けたのは、クロマツの葉の構造を観察することだった。
当時勤務していた高校内には、クロマツが足元にいくらでもあったからだ。
針のようなクロマツの細い葉の構造を観察したいと考えた。
フロログルシンと塩酸から染色液を作り、クロマツの維管束を顕微鏡観察した。
赤紫色に染められた組織を見ながら驚いたことがあった。
クロマツの針のような細い葉の断面が、何とかまぼこ型(半円形)であったことだ。
何事も観察してみないと分からないことがあることに気づいた。
葉が丸まって針状に進化していく過程の中に、クロマツのような植物も含まれていたのだろうと考えた瞬間でもあった。