カラムシの葉の目につく位置(上層部)でフクラスズメの幼虫を見つけた。幼虫は、奇主植物の1つであるカラムシの葉で生育することや、穴をあけた葉を通りがけに見かけていたので、その存在が気になっていた。今回ようやく、その姿を目にすることができた。体の背が細かい毛で覆われ、黒・オレンジ・クリーム色の鮮やかな組み合わせのデザインであった。別の葉には、全身灰色をベースに黒色の帯と線が入った幼虫を見かけた。こちらの個体は、図鑑で調べると若齢幼虫であることが判明した。文献によると、幼虫は6~10月にかけて2回発生するが時期はやや不規則で、成虫越冬する(一色ほか, 1965)。また、幼虫をカラムシの上層部で見かけることが多いのは植物の出す化学防御物質(毒)と、それを克服しようとする幼虫の生物間相互作用の結果生じたもののようだ(Ide,2006)。一種の生き物が植物と関わって生活していることを考えさせてくれた。